Runner's Wellness

2017321日付日本経済新聞朝刊に掲載されました

2017.3.23

2017年3月21日付日本経済新聞朝刊に弊社代表 坂本雄次のインタビュー記事が掲載されました。

ウルトラマラソン花盛り
コースに名所織り交ぜ 運営にボランティアの力
 
 4月末には本格的なフルマラソンのシーズンが終わり、42.195キロを超えるウルトラマラソンの季節を迎える。いまや100キロ超の大会が全国各地で開催されるようになり、サロマ湖100kmウルトラマラソン(北海道)のようにエントリー開始から30分足らずで定員に達する人気大会もある。ウルトラマラソンという自身の脚に頼った「長旅」はいかにつくられているのか。つくり手の側からウルトラマラソンを見てみると……。
 
 月刊誌「ランナーズ」を発行し、大会も運営するアールビーズが実施している人気投票「全国ランニング大会100撰(せん)」の最新版にはウルトラマラソンが8大会も名を連ねた。同社の15年のアンケート調査では「一度は走ってみたい国内大会」として、サロマ湖ウルトラが東京マラソンに次ぐ2位、四万十川ウルトラマラソン(高知)が6位につけた。
 
 山を走るトレイルランニングとともにウルトラマラソンの人気がじわじわと高まっている。フルマラソンをなかば卒業し、ウルトラの世界に引きつけられる経験豊富なランナーも多い。
 
 その傾向について、大会を企画・運営するランナーズ・ウェルネスの坂本雄次社長は「山の頂を目指すのと同じで、ランナーは100キロという距離を克服する過程で、自分の体と精神の変化を楽しみたいのではないでしょうか」と話す。
 そのニーズにこたえるため、ランナーズ・ウェルネスは「走りごたえのあるタフなコース」を設定している。そこに癒やしとなる景観、歴史的な名所を織り交ぜ、風光明媚(めいび)なコースをつくりあげる。
 「ある種の旅なので、参加者が自分で物語を描けるコースづくりを心掛けている。コースを攻略するプランを立てる段階から、どう攻め、どこを楽しむかをイメージしやすいようにしている」と坂本社長はいう。
 アップダウンでコースにアクセントをつけ、「あの景色の見える地点まで何とか頑張ろう」という目標になるように、30~50キロに一つ、70~80キロに一つは癒やしとなる景観を入れる。
 
 チャレンジ富士五湖ウルトラマラソン(山梨)は富士五湖をすべて巡る楽しみが確固たる走る理由になり、富士山や満開のフジザクラが目を楽しませてくれる。
 白山白川郷ウルトラマラソン(石川、岐阜)は世界遺産に指定されている合掌造りの白川郷、大自然を楽しめる白山白川郷ホワイトロード(旧白山スーパー林道)を巡る大会として創設されたが、今年はさらに手取川キャニオンロードを経て、夕日が沈む日本海を目指す「ぜいたくな旅」にグレードアップする。
 もちろん、これらの大会には開催地の観光振興という思惑が込められている。今年、新設の日光100kmウルトラマラソン(栃木)は杉並木、日光東照宮、いろは坂、中禅寺湖、日光江戸村などを巡るコースで、観光資源のピーアールを図る。
 昨年末、新設された沖縄100Kウルトラマラソン(沖縄)も海沿いのコースを売り物にし、沖縄の魅力を訴えている。ウルトラマラソンは通常、山間部に入るため、冬の開催は難しく、開催期は4月下旬~10月だが、沖縄の温暖な気候が12月の開催を可能にしている。
 
 長時間を要するため、ウルトラマラソンは早朝スタートになり、宿泊を伴う。観光旅行をセットにした県外からの参加者が8割ほどを占めるため、経済波及効果が期待できる。地域振興ツールとして有効だからこそ、地元の協力が得られる。
 アールビーズが13年に新設した柴又100K(東京、埼玉、茨城)は「首都圏から電車で日帰りできる大会」を売り文句にする。葛飾区観光協会の協力で、開催日は帝釈天の参道の飲食店の閉店時間を延ばしてもらっている。
 一般の部の制限時間は14時間だが、「それでは厳しい」という40歳以上の女子、60歳以上の男子を対象とした壮年の部を設けた。スタート時間を30分早め、制限時間を15時間に延ばし、ウルトラマラソンの「間口」を広げた。
 参加者向けの無料の練習会、座学の講習を開くほか、関連イベントとしてコース上の埼玉・杉戸町の60キロの大会を初心者向けの練習会と位置づけて開催している。
 また、大会当日はコース周辺の8自治体の100人の小学生が1キロずつ走ってタスキをつなげる。目標は1998年のサロマ湖で砂田貴裕さんが出した世界記録の6時間13分33秒。昨年は7時間14分9秒でゴールし、100キロの優勝者を約35分上回った。
 
 大会を運営するにはウルトラマラソンならではの苦労が多い。距離の計測は自転車を使って行うが、山間部のきつい上り下りで難渋する。計測には少なくとも3、4日は掛かる。
 何より重要な安全確保に神経を使い、救護車両が円滑に移動できるような体制を取る。関門を時間内に通過できないランナーはバスで収容するが、狭いコースではマイクロバスしか使えない。
 天候によって関門通過できない参加者の数(完走率)が大きく変動するため、配置するバスの台数を読むのが難しい。普通は後半にバスを多めに用意するが、悪天候で前半にリタイアが増えると、バスの手配が間に合わなくなる。急きょ、バスを送るにしてもコースが長いため、1~2時間、ランナーを待たせてしまうこともある。
 大会運営にはボランティアが不可欠だが、活動時間が長くなるウルトラマラソンでは2交代制を敷くため、1000人近いボランティアを要する。地方では人的資源は限られるので、大学、高校、企業への協力を求める。山間部の給水所、救護所へのボランティアの送り迎えも必要になる。
 大会の収入の柱は参加料、企業などからの協賛金、地元自治体からの助成金。参加者が3000人を超えないと収益は出にくいという。チャレンジ富士五湖とサロマ湖が4000人を超える国内最大規模の大会で、3000人規模の大会もまだ4大会にとどまっている。
 自治体から助成金が出るのは通常、大会設立から3~5年に限られる。回数を重ねながらコースの見直し、アクセスを改善し、魅力を高めて、補助金に頼らなくても持続可能な大会に育てていく必要がある。
                        (2017年3月21日付日本経済新聞朝刊より抜粋)

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