「デカフォレストに聞きました」第2回 奥田 雅巳さん

野辺山ウルトラマラソン「デカフォレスト」
デカフォレスト 奥田 雅巳さん
奥田 雅巳さん(奈良県)

野辺山初参加年:1996年
野辺山初完走年:1996年
野辺山完走回数:10回


1、ウルトラを始めたきっかけは何ですか?

 1994年に友人からホノルルマラソンに誘われ、いきなりフルデビューそれも準備期間二ヶ月と無謀とも思われるもの。最初で最後のマラソンなら目標を持つ事!!ちょうど番組で郷ひろみさんが、同じ条件でホノルル3時間38分で完走したと言っているのを聞き、打倒郷ひろみと、勝手に心に誓い目的を達成しましたが、12歳アンダー優勝者の子供に負けて落ち込みました。
 翌年、阪神淡路大震災に遭遇して命の尊さを考えるようになりました。充実した生活を求めるため「走るのも有りだよな」と考えるようになりました。
 デビューがいきなりフルマラソン。そうなると次は、100キロが自然の成り行きでした。

 奥田さんのウルトラデビューは友人の「血尿が出て身体がボロボロになる」という言葉に惹かれての初マラソン翌年、1995年10月四万十ウルトラ。その際「時間内完走・沿道の応援に笑顔で応える・ラスト10km60分台」を目標に掲げ、全ての目標クリアと同時に見事完走したそうです。
 身体がボロボロになっても笑顔で沿道の声援に応え続ける気力こそ、ウルトラ完走に必要な要素なのでしょう。


2、野辺山ウルトラへ参加のきっかけは何ですか?

 とても不純と言うか失礼な話ですが時効と言う事で自白しますと、四万十川100キロのトレーニングのために、50キロの部にエントリーしました。当時の野辺山開催が9月でしたので、一ヶ月後の四万十川には打って付けの日程でした。しかし抽選で四万十川を落選したために、急遽100キロにエントリー変えを願い出たところ、締め切り後にもかかわらず気持ち良く変更して頂き感動いたしました。
 それと「星の郷八ヶ岳を走ろう」のキャッチコピーにも惹かれました。

 「ロマンティックな星降る場所」をイメージしてはるばる奈良から参加した奥田さん。しかし待っていたのは野菜畑と不安定な天候・・・。とはいえ、やはり八ヶ岳の雄大な自然はすばらしく、晴れた日の眺望はなんともいえません。期待を裏切り、それ以上の印象を与えた野辺山は奥田さんにとっても「大好きな大会」の一つだそうです。


3、野辺山ウルトラの魅力は何ですか?

 これまでに幾度となくされたコース変更は、ランナーに過酷で困難を与えながら成長した大会ですよね。でも厳しいだけでは、これほど多くのランナーが全国各地から集まるはずも無く、やはり魅了してやまない何かが有るのでしょう。大自然や地元の方の温かい協力は勿論ですが、良い意味での「ほったらかし」「挑んできなさい」的な懐の広さですかね。
 そうスケールの大きさが人々の魂を揺さぶるのではないでしょうか。「世の中そんなに甘くは無いよ」と走りながら聞こえてきます。

 「身体がボロボロになる」ことに惹かれた奥田さんにとってはこの厳しくもあたたかいコースこそ野辺山ウルトラの最大の魅力なのでしょう。


4、デカフォレストを目指した瞬間はいつでしたか?(もしくは、目指したきっかけ)

 やはり第一期デカフォレスト誕生の瞬間ですよね。その時のメンバーの姿が眩しく、誇り高き勇者に見えました。自身8回完走していたので身近に感じましたが、一期生は1回大会からの連続完走なので本当に尊敬いたします。


5、デカフォレストになった瞬間の気持ち

 練習不足で万全の体調とは言えませんでしたが、道中ボランティアの方の応援や、デカフォレストの伊藤 正利氏の無言の激励に後押しされヨレヨレのゴール。これほどダメージを受けた完走は初めて、その日の夕食も摂れず風呂にも入れず朝までダウン。正直カッコイイ話は出来ません。「安堵の気持ちで一杯」が本音ですね。

 元々「諦めやすい性格」で「人と競うのが苦手」という奥田さんも、デカフォレストを目前に、「石にかじりついでも完走!」とはっきりした意識を持って参加したそうです。デカフォレストが奥田さんの10回目の完走を陰で支えていたということでしょう。そしてもちろん、復活した翌朝には無事祝杯をあげられたそうです。


6、デカフォレストになって変わったこと、良かったことはありますか?

 実はデカフォレスト達成をした翌年は体調不良で42キロでリタイヤしました。バスで10時30分にゴール地点に運んで頂きましたが釈然とせず、ゴールから歩いてトップランナーを迎えに行くうちに、体調も戻り気がつけば走りながら馬越峠を逆走していました。多くのランナーに声援を送るうちに、来年は体調を整え完走を目指そうと思いました。
 10回完走したことで何処かに慢心と、走る心が疲れていたのかも、気分一新リセットが出来ました。

 その後も練習のモチベーションが上がったという奥田さん。デカフォレストは達成者の心にはっきりと「なにか」を残していくのでしょう。


7、あなたにとって「デカフォレスト」とは何ですか?

 難しい質問ですね・・・日常的に何ら変わることもないし、2回のリタイヤを挟んでいるので大きな達成感とも違うし。しいて言えば、健康で走り続けた事にたいする称号では、ないでしょうか。

 健康で走り続けることこそもっとも難しいことなのでしょう。
 これからも是非健康で、野辺山とともに走り続けていただきたいものです。


8、デカフォレストを目指すランナーへメッセージをお願いします。

 年齢を重ねる内に体力の低下や故障と向き合うことになり、精神的にも追い込まれがちになると思いますが、焦らずに体調を立て直し、今できる最大のパフォーマンスを発揮出来れば、自ずと結果は付いて来ると思います。


 次回は3月13日。栗林公毅さん、田中裕二さんにご登場いただきます。


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