「デカフォレストに聞きました」第23回 松橋 賢治さん

野辺山ウルトラマラソン「デカフォレスト」
デカフォレスト 松橋 賢治さん
松橋 賢治さん(埼玉県)

野辺山初参加年:1995年
野辺山初完走年:1995年
野辺山完走回数:12回


1、普段の練習方法を教えてください。(月間走行距離、年間大会参加数など)

  • 月間走行距離:150~250km
  • 年間大会参加数:10回程度
  • 練習方法:土日のいずれかは20km程度のトレイルランニング

 松橋さんの練習場所は近所にある秩父のハイキングコース。一般道での練習とは違ってアップダウンの多いコースで、「使う筋肉が違う」とおっしゃいます。
 この練習を始めてから野辺山のレース後半でもがんばれるようになったとか。今では「馬越も走れる」と松橋さん。


2、野辺山ウルトラ完走攻略は?(最初の難関、最後の難関、必需品など)

  • 最初の難関:最初の山道区間をいかに疲れずに走れたかで今日の調子を判断している。
  • 最後の難関:馬越峠に至る60~70kmの坂道をいかに歩かずに走れるか
  • 必需品:股ずれ、足裏のマメ予防のワセリンおよびテーピングテープなど

 最初の稲子湯までをいかに「疲れないように走る」かが松橋さんのポイント。休みながらでも、最初は抑えて。稲子湯の坂で「あれ?」と思うときは駄目なときだそうです。もちろんそんなときでも「稲子湯まで上りきれば休める」と気持ちを切り替えて、前へ進むそうですが、前半足を使ってしまうと、後半まで持たない上、タイムにも顕著に表れるそうです。


3、デカフォレストを目指した瞬間はいつでしたか?(もしくは、目指したきっかけ)

 デカフォレストが制定された年に挑戦目標とした。最初のデカフォレストが誕生した時は感動した。自分も絶対に頑張ろうと思った。


4、デカフォレストになった瞬間の気持ちを教えてください。

 2006年は10回完走をめざし、体調万全で参加した大会だったが山道の下り(20km過ぎ)で転倒し、左ヒジが切れて血が止まらなくなった。胸を強打したので深呼吸をするたびに激痛が走り、とても苦しかったのを覚えている。ゴールまで辿りつけるか不安だったが何度も休みを入れ、念願の10回完走を果たした。「デカフォレスト」への思いが強く、途中リタイアを一度も考えなかった。100kmのゴールは感動もなく、とうとうやったなという気持ちで淡々とゴールできたように思う。

 とうとうやったな、と言う思いと同時に「長く続けてよかった」と言う思いもあったそうです。最初3回完走した後、「これでいいや」と一度野辺山を卒業。しかし、再度走り始めて、50kmに参加したが、物足りず「やっぱり100kmだ」と実感。
 「好きでないとできない」と言う松橋さんは、年とともに変わっていく身体の変化をも楽しみながら続けていくことが大事だとも。練習もレースも、変化していく身体に合わせて取り組み方を変えてきました。今では「時間をかけず効率よく!」が練習の際のポイントになっているそうです。


5、デカフォレストになって変わったこと、良かったことはありますか?

 特別に変わったことは無い。自分の中ではこれからは完走回数だけではなく、完走時間と年齢もセットで問われると感じている。60歳になっても10時間台で走るのが目標だ。

 いつまでも新しい目標を持ち続けていられるその裏には、他のデカフォレストランナーの方たちの姿勢があるとか。ご自身より年上のランナーの頑張る姿に励まされているそうです。


6、あなたにとって「デカフォレスト」とは何ですか?

 デカフォレストそのものにあまり深い意味は感じていない。それより毎年、健康な体で八ヶ岳野辺山の大自然に入れることに感謝している。そのために練習を重ねている。いずれリタイアするだろうがこの大会は自分がこの世に生きた「証」となっている。
 今年も遥か遠い100km先のゴールを目指して頑張る!


7、デカフォレストを目指すランナーへメッセージをお願いします。

 絶対に「デカフォレスト」を達成しよう!デカフォレスト達成はこの自然豊かな大地を走らせてくれる地元の人々やボランティア、大会を支えてくれるすべてのスタッフへの感謝の気持ちの証です。絶対にあきらめずゴールを目指そう!


 「練習は裏切らない」と力強くおっしゃる松橋さん。楽に走れたのが疲れ始めた、と兆候を感じれば練習の中身を充実させる。効果的な練習は?と常に工夫をする。そういった考えから、山岳トレイルを走り、筋力をつけるトレーニングを開始したそうです。「平坦な道をいくら走っても効果がない」と言い切る松橋さんは、レースでは「アスファルトを走れるだけでも楽」と思えるほど山を走るそうです。
 身体の変化を敏感に感じ取り、練習を変化させてレースに臨む。この姿勢が、松橋さんとランニングの長い付き合いのコツなのでしょう。


 次回は4月29日。武田正次さん、今井一仁さんにご登場いただきます。


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