アースマラソンサポート記 北米横断37日目

2009年4月24日
 今日はAlamosaからFort Garlandまでの59km。

 昨日、スポンサーのデサントから寛平さんとスタッフに新しいウェアが届いた!最近は国際宅配便が発達しているので、24時間で東京からコロラドの片田舎まで宅配物が届いてしまうから驚きである。ブーやん、池田君、ダグは白地のウォーマー、ムギは紺色のTシャツを着ている。寛平さんも上から下まですべて新しいウェアに着替えて気分一新。「さあ、いくでぇ!」と軽やかな足取りで走り出した。

 Wolf Creekを越えたこのあたりは、再び砂漠地域。ただ、周辺はまだロッキー山脈の山々が点在しているので、カリフォルニアで通ってき砂漠とは様相が違う。牧草になりそうな草もところどころに生えているし、灌木ではあるが木々もいくらか緑がある。R160号線は一直線の道。大型のコンボイが縦横に行き交ってゆく。寛平さんも私も友好の気持ちをこめて車が通るたびに大きく手を挙げる。すると、ほとんどのドライバーから呼応する手挙げが返ってくる。昨日、地元のタブロイド紙の取材を受け、寛平さんの地球一周のことが紹介されたからだろうか車の方からクラクションで応援を送ってくれる人も、今日は多い。寛平さんが走るR160の左手に頂に雪を被った山、Blanca Peak(標高4800m)が威容を誇るように聳えている。

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 バイクレーンを走る寛平さんの足取りは軽い。「なあ坂本さん、ナバホのパンなあ、あれ、かみはんにも言うといたから一緒にやってやあ。絶対売れるでぇ」DurangoでNavajo INDIANのデビの家で、ばあちゃんが焼いてくれたパンのことである。小麦粉と塩とベーキングパウダーだけで練ったものを手で延ばしフライパンで焼くだけの素朴なインディアンのパン、確かに、蜂蜜をつけたり、野菜やチキンをはさんだり、むろん、そのまでもかなりおいしいパンなので、これを日本のみんなにで食べてもらおう、という話。と喋ったかと思うと、また淡々とピッチを刻み続ける。

 今日の路面は砂がないのでザッザッザッザ、というよりもサッサッサ、という感じだ。NBシューズN966に履き替えて今日で3日目なのだが、すでにミッドソールはすり減って、芯のプラスチックベースが露出してしまっている。衝撃吸収力はすでにないが、寛平さんは膝の上がらない徹底したすり足双方のため、4日目までの走行は可能なのである。

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 2時間走ってもまだ曲りらしきものは見えてこない。Blanca PeakのふもとにはSando duneと呼ばれるいわゆる砂丘がある。全米でもここだけにしかない砂丘だ。砂漠がたくさんあるんだから砂丘があっても不思議ではないのだが、アメリカの砂漠は乾燥した荒地、が殆どらしい。午前11時、Blancaに入ってすぐのところにカフェがあったので少し早目の昼食。目玉焼き・ハッシュドポテト、ハムステーキとトースト、それにアイスティーといった内容。いつもならお粥で昼食をとるが、昼時間に町がぶつかったときなどは気分を変えてレストランやファストフードを食べることもある。今回のコースはアメリカの片田舎コース。レストランやカフェとは名ばかりで、実に実に簡素な店ばかりなのである。もっとも、これが実に味わいがあってまさに「アメリカン」を堪能できる。

 ここからBlanca Peakから次のFort Garlandまでは約7km。昼食で一息ついてさらに先を目指す。R160はBlanca Peakを左に巻き込むように曲がっている。ここらあたりから道は次第に上り坂になる。午後からは強い送り風となり、寛平さんにとってはありがたい風。Colorado Springsから来た、という二人づれの女性から激励をもらった。「アメマ〜」と大書した紙を持ち、二人とも寛平さんを見つけたことで感激して涙がいっぱい。ありがたい応援だ。

 午後3時45分、無事に59kmを走り終え「みんな、ありがとう!」。寛平さんいつもの感謝である。明日はウルフクリークに匹敵する山越えが待っている。

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