アースマラソンサポート記 北米横断44日目

2009年5月 2日
 北米横断44日目。
 今朝も小雨交じりの冷たい朝。R50は相変わらず淡々とした一本道で東に向かって延びている。昨日通ったGranadaでは第二次大戦中の在米日本人および日本人二世らが収容されていた施設跡を寛平さん、スタッフ一同で訪ねた。Amacheとなずけられたこの施設に収容されて、狭い部屋に大勢が詰め込まれ、マメ電球1個と水道も換気もない状態で足掛け5年近くも不自由な生活を強いられた人たちの、窮状と厳しさを説明書きから読み取ることができ、日米の歴史の一端にこんなところで触れることになろうとは、寛平さんも私も思ってもみなかったので、当時を偲んで心の中で感謝と慰労を捧げた。「これは何が何でもアース完走とオリンピックは東京に持ってこねば・・!」と決意を新たにするのだった。

 見渡す限り360度の平原は「なんだあ、こりゃあ!!」というくらいだだっ広い大地。スタートして1.9km、北米横断をはじめて遂にというか、もうと言おうか2000km地点に到達した!43日と2時間半での到達だ。一日あたり46.51kmに相当する。実際はスタート当初24kmから始まって、30km台が1週間くらい。40km台も1週間くらい。LAを出発して50km台をコンスタントに走り始めてからは、まだ3週間強しかたっていない。ここ2週間の間に60km以上の距離を走った日が4日間で、これから少しずつ距離を延ばすようにしてゆく。1クール、60km超え日を2日間つくってゆければ、NYへの日程も徐々に鮮明に見えてくるだろう。寛平さん、スタッフ全員で記念写真をパチリ!(NBから派遣されたカメラマンの鈴木さんに撮ってもらった。)

 昨日も一昨日もそうだったが、一面の曇り空で降水確率も40%と高いのに、なぜか寛平さんが走ってゆくところに大きな崩れが起きない。不思議だ。究極の晴れ男??なのか神が宿り始めたのか??

 もうひとつ不思議なことがある。動物たちの動きだ。何度も言うようにコロラドからカンザスにかけては一帯が酪農地帯で、道路の両側には牧場が広がっている。そこにいる馬や牛、飼われている犬や鳥たちの反応が興味深い。というのは、寛平さんが走るときに、アスファルトの路面を擦る音がするわけだが、この「ざっざっざっざ・・・」という音にこれらの動物が100%反応するのだ。牛は草を食むのをやめて一斉にこちらを見、一斉に動き始めるし、馬は同様にこちらを注視したあと、寛平さんのところに集まってくる、中には遥か100m以上も離れたところから走って来る馬もいる。犬は一斉に吠え始め、鳥も群れをなして近くに。時には道路付近まで来る・・・。一体、これはどういうことなのだろう???考えてみたところ、多分、これらの動物が共通して持っている感覚の波長と靴音の波長が合っていて、それに引きずられた行動、ということが考えられる。違った空想をすれば、寛平さんはノアで、ノアの行動に神が啓示した来世に必要な動物たちが反応して集まってきているのか?寛平はフォレストガンプ!?(考えすぎ?)

 12km地点、長かったコロラド州に別れを告げるときが来た。カンザス州との州境ボードが見えてきた!「やったどー!コロラド州さようならあ、カンザスさん、こんにちわー!」寛平さんが叫んだ。

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