アースマラソンサポート記 北米横断73日目

2009年6月 4日
 夕べ、寛平さんとGalvaからの走り方を相談した。NYまでの距離はおよそ1462km、NY到着予想日を7月6日前後に置くと、残された日数はきょうを含めて33日。途中の休日を差し引くと実質28日間しかない。単純な割り算だと1日平均52kmを走ってゆけばNYには予定通り到着するはずだが、天候・体調・その他によるロスや予備を考えたら、毎日の平均走行距離少し多くして日程面での安全策をとることを提案した。その内容は現行の5勤1休(4勤1休1半休)のパターンは変えず、走行距離を60・60・40・60・60kmとして、1クールの走行距離を280kmにアップすることで予備(貯金)を極力つくり、ある程度の余裕をもってNYに接近しよう、というものである。こうするとおよそ1.5日の余裕が生まれ、休日に歩きを入れれば、入れた分だけ貯金が増えて、後半に時間の余裕が多くできることになる。結果、大西洋横断の時間的計算も立てやすくなることに繋がるからだ。

 寛平さんの身体は疲労困憊しているはず。ここまでノーアクシデントで来ていること自体が驚異的なことなのだが、北米横断は実はこれからの1か月が最も肝心で、且つ、工程確保がさまざまな観点でシリアスになってくるのである。したがって、寛平さん自身が疲労回復につとめ、しっかり食事をとること、睡眠時間は絶対に確保すること、などセオリーではあるがはずしてはならない健康管理と工程管理をしっかり守り、且つ、毎日の走行距離はしっかり守ることに注力してゆかなければならない。

 朝、6時50分、Galva郊外をスタートした。  早朝の道路は交通量も比較的少なく走りやすい。トウモロコシ畑が続く地平線に目をやりながら60km先を見据えて小鳥啼くR91を走り始めた。今日もスタートから自転車に乗る。あたりに広がる広大なトウモロコシ畑。今は刈り取ったあとの茎の残骸だけが枯れた状態で残っているが、このあたりの植え付け、収穫はいつ頃なんだろう?「こんだけの畑でトウモロコシが伸びたらな~んもみえんなあ」などと話しながらスカッと晴れた空の下を走る。道は緩やかな起伏をうねうねと繰り返しながら北に向かって伸びている。

 寛平さんの走りは相変わらず機械のように一定のリズムを刻んでいる。両足は路面を舐めるように、一歩の歩みを置くように狭い歩幅で前に進む。徹底した筋肉に負担がかかりにくい、摺り足、というより「ネコ足」の歩様。リズムは1分間で180歩前後で安定している。しかし、ここ数週間は路面と砂地の間に段差があるため、得意のローラー走法が取れず、舗装路を中心に走らざるを得ないためどうしてもキックを使った走りをしなければならなくなり、結果、足首痛と膝に痛みが出始めている。「早いなあ・・痛みくるの・・」。走り方に絶対の自信を持っている寛平さん、故障を出さずに路面といかにうまく付き合ってゆけるか?を模索するように淡々と走る。ここらあたりは着地の仕方や踏切方でいかにしたら楽で負担なく続けて走れるか?を彼一流の感覚で探っているところなのだろう。そしてそれを克服しながら本能的に身につけていってしまう、走りの非凡さはこの辺だ。イリノイでは午後の2時ごろからが気温が上がり体力的にもきつい。今日は日差しはきついが微風があるためまだ比較的楽だ。

 NYへの到着を7月初旬まで引き上げるには日当たりの走行アベレージを60kmに上げないと難しい。5勤1休を守りながら距離を伸ばすには毎日分を増やしてゆくしかない。今日は60km無事に走り終えることができた。

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