「歴史街道丹後100キロウルトラマラソン」

2009年9月22日
2009丹後ウルトラ
 京丹後市で開催された「歴史街道丹後100キロウルトラマラソン」に行った。
 この大会は今から9年以前に私が立ち上げた大会。普通、マラソン大会の立ち上げは開催したいと考えた自治体や陸上競技協会、地元の有志が発案するケースが多いが、この大会は私がウルトラマラソンの普及と近畿エリアで全国大会を開きたい、という発意で持ち込んだものである。勿論、地元丹後地域の経済振興や観光振興といった地域の発展に繫がる目的は言わずもがな、である。

 大体、中央や五大都市以外にこれらのスポーツイベント企画を持ち込むと、都会のイベント業者が商売を目的に来た、といった受け取られ方をすることが殆どで、ランニングスポーツがもつ効果やその普及状態、大会を開催することでもたらされる振興効果はなかなか理解してもらうのに時間がかかるものである。丹後にあってもそれはご他聞にもれず、だったが丹後エリアの地域事情やスポーツ大会から産み出される副次効果を理解くださる方々の力もあって、第一回が開催され今日に至っている。

 今回は久しぶりに100キロの全コースを改めて見直してみた。
 現在は「京丹後市」という自治体名になっているが、コースは網野・久美浜・峰山・弥栄・大宮・丹後の6地域に及び、ランナーにとっては起伏と風光に富んだ内容になっている。丹後半島は周囲が複雑にいりくんでいて、その風光は「丹後松島」と呼ばれるほど美しい。これは半島の背骨が山になってるためで、道路が整備されるまではおそらく人が一人やっと通れるくらいの道しかなかったことが想像される。それだけに道が整備された今日でも海と山が創り出す自然の造形は見るものを驚嘆させるほど美しいのである。
 コースの途中には竜神峠や碇高原などへの長く勾配のきつい坂が配されているが、ランナーは100キロのコースを自分の人生になぞらえてコツコツこれらの坂道を克服してゆく。

 途中、給水や給食を補充するエイドステーションがあり、このステーションでは物の補給以外にボランティアスタッフとのささやかな交流を持つこともできる。
 ウルトラマラソンは、時として人生の日々と同様孤独な瞬間を味わうことがある。そんなときの他人(スタッフや応援者)の一言が大きな力になったり、自分を奮い立たせるきっかけになったりもする。10時間以上(60kmは9時間30分だが)の長い時間をかけて走るウルトラマラソンは、筋肉痛との闘いでもあるが一方では自分の精神を涵養してくれるスポーツでもある。

 人間は目的や目標がないと「浮遊した時間」を過ごしてしまうある意味弱い生き物なのかも知れない。逆に言えばしっかりした目標・目的を持てた者は工夫と創意に満ちた生き方を見つけることもできるのではないだろうか?ランニングとても単純なスポーツだが反面、非常に奥行きも間口も広くて深いスポーツ。先ずは歩きから始め、健丈な心身を自分の中に見つけることができたなら、いつかはウルトラマラソンを体験してみてもらいたい。そして、美しい風光と恵まれた海産物、遥か古代の歴史に彩られた京丹後の地を是非一度は訪れて欲しいものである。

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